明治39年柳川に生まれた二科十朗(にしなじゅうろう)は、昭和3年に熊本県立工業学校を卒業し、伝統ある太平洋画会研究所で油絵を学んだ後、草木染の研究に精力を傾けまし た。戦前は朝鮮半島に渡り彼地の美術に深く傾倒しながら朝鮮美術展などで活躍し、戦後は太平洋展や県展を舞台に天然染料を用いたろうけつ染作家として独自の世界を築いてきました。
その作風は、油絵をろうけつ染に変えたといわれるほど絵画性豊かで、特に後年インドや南太平洋の島々に取材して生まれた作品は、優美で匂いたつような色彩にあふれています。
一方で 二科は、後進の指導と育成にも力を尽くしました。県内各地はもとより、東京や鎌倉などに染色教室を開いて「にしな会」と総称し、門人の作品を集めて開催し た「百人展」は6回に及びます。昭和41年には太平洋美術会西日本支部の創設に携わり、同会の活発な支部活動の端緒を開きました。昭和53年に72歳で没 するまで、東筑紫短期大学で教鞭を取り、また太宰府にあっては筑紫美術協会の役員を務めるなど地域文化の発展にも寄与してきました。その情熱と志、生活の 中に美を求める心は、優れた技法と共に多くの人々に受け継がれ、語り継がれています。ここでは、屏風や額装作品を中心に、その美と技を皆様にご紹介します。
▲「葉かげ」
会 期 |
: |
前期:平成11年9月11日(土)~9月27日(月)
|
展覧会 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|