学芸だより
収蔵品紹介―氷冷蔵庫―
私たちの暮らしは電気を使ったさまざまな道具によって支えられています。電化製品によって便利で暮らしやすくなりましたが、電気がない時代はどうしていたのでしょうか。
昔は、買った食品はその日のうちに食べてしまうことがほとんどで、保存しておく場合は冷暗所か、風通しのよいところで保存していました。明治時代末ごろになると、氷を使った冷蔵庫が登場します。氷冷蔵庫といって、内部はトタンやブリキなどの金属が貼られています。上下2つの扉があり、上の棚に入れた氷の冷気が下に降りることで、下の棚に入れた食品を冷やす仕組みです。おもに夏の間、食品を腐らせないようにするために使われました。氷は、毎朝氷屋さんがリヤカーや荷車にのせて配達していました。
電気冷蔵庫が家庭に普及しはじめるのは、昭和30年代後半以降のことです。冷凍室がついた2ドア式の冷蔵庫も登場し食品が保存しやすくなると、まとめ買いもできるようになり、私たちのライフスタイルも少しずつ変化していきました。
1月6日(火)から開催の「第30回くらしのうつりかわり展」では、今回紹介した氷冷蔵庫も展示しています。ぜひ、ご来館ください。
学芸員 後藤 夏実









