大伴旅人は、白村江の敗戦の翌々年(665年)、武門の名族としての「さだめ」を負って生まれました。わが国が律令国家完成へと向かう激動の時代に成長を遂げ、自らも律令政治の旗手の一人として中央の要職はもとより、征隼人持節大将軍・大宰帥など筑紫ゆかりの任につき、その「つとめ」を全うしました。大宰府では、『筑紫万葉歌壇』を主宰し、都に劣らぬ文雅の世界を創り、文人の「きわめ」を尽くしました。まさに「遠の朝廷」大宰府の政治と文化を一身に体現する人物といっても過言ではありません。
本展覧会では、大伴旅人を主人公に、律令国家・大宰府・大伴氏という3つの『史軸』を通して『万葉の世紀』ともいわれる8世紀の日本を見つめるとともに、律令国家における九州の位置づけや大宰府の果たした役割、そして、豊かな大宰府文化の息吹を紹介します。
展示構成
・貴族の「運命(さだめ)」
大伴旅人がいかなる「さだめ」をもって、この世に生をうけ律令と万葉の新時代を生き抜いたのかについて紹介します。
・官人の「仕奉(つとめ)」
大伴旅人が律令官人として求められた「つとめ」を通して、律令国家の政治外交上の課題と、大宰府および西海道の位置づけについて紹介します。
・文人の「極致(きわめ)」
大伴旅人が文人貴族のひとりとして到達した天平文化の「きわめ」と、山上憶良とともに創り上げた筑紫万葉の文華について紹介します。
・ふたたび、貴族の「運命(さだめ)」
大伴旅人がこの世を去った後の名族大伴氏の継承と零落を通して、律令国家の変質を紹介します。
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