学芸だより

学芸員実習

 当館では毎年、大学で博物館学芸員課程を受講する学生を、学芸員実習生として受け入れています。学芸員資格を取得するには、博物館での実習が必須条件となっており、今年も8月17日から8月28日までの10日間、3名の実習生がやってきました。単位認定という責任ある役割を負うため、当文化ふれあい館では、市教育委員会・市史資料室と協力し、充実した実習となるようカリキュラムを組んでいます。その内容は、地域博物館の役割の確認に始まり、史跡踏査・発掘調査・遺物整理・展覧会実務・文書資料調査・民俗資料調査と多岐にわたります。
 太宰府に暮らしていても、どこにどんな史跡があるかなどは、案外知らないもの。実習生には10日間ひたすら太宰府のことを考え「太宰府づけ」になってもらうべく、2日目の史跡踏査実習では午前中いっぱいをかけて市内を歩いてまわりました(写真①)。普段は風景として溶け込んでしまいがちな場所も、歴史や伝説を知ることで特別な場所へと変化します。「歴史ある場所だと知った」「太宰府のことを詳しく知らなかったことに気がついた」そう感想を口にする実習生たちには、これまでの風景が違ったものに見えるようになったのではないでしょうか。
 炎天下での実習が終わっても、次のプログラムが待っています。午後からは、「第8回歴史の散歩道展―水城の氏神さまとその祭り」の準備のため、展示用のパネル作りを行いました。実習生たちは手際よく発泡スチロール板に写真を貼りつけ、後に聞けばこの作業が一番楽しかったという実習生もいました。民俗資料調査実習では、近くの神社から借用してきた板絵など、資料のクリーニングも行いました。担当学芸員から博物館資料の扱い方について指導を受け、ほこりにまみれながらも慎重に作業を行っていました(写真②)。
 実習生たちは期間中、慣れない作業で疲労困憊している様子でしたが、最終日には、各自が学芸員に必要とされる力として表現力や進行管理の力、また資料や人への配慮、コミュニケーション力などを挙げ、「学芸員になりたい思いを強くした」との感想を残し、晴れやかな表情で館を後にしました。実習生みなさんの今後の活躍を期待しています!



▲写真① 史跡踏査実習


▲写真② 資料のクリーニング