学芸だより

戒壇院の子ども花まつり

 4月8日は灌仏会(かんぶつえ)。通称花まつりと呼ばれて親しまれるこの行事は、お釈迦さまの誕生をお祝いするものです。戒壇院(かいだんいん)では今年、子どもが主体となり参詣する「子ども花まつり」が、学校の春休み期間中である4月3日に行われました。
 当日は青空広がる天気に恵まれ、午前9時前から花御堂(写真①)に、持ち寄った色とりどりの花を飾る子どもたちの姿が見られました。境内には、スピーカーから「こどもの花まつり」という曲が流れており、子どもたちは歌詞を見ることなく口ずさみ、曲に合わせて手遊びをするなど、その姿は「子ども花まつり」が長年親しまれてきた様子を感じさせてくれるものでした。
 行事は午前9時30分、児童代表3名による献灯・献花(けんとう・けんか)から始まり、住職による読経、講話、全員で「こどもの花まつり」を斉唱した後、灌仏を行います(写真②)。灌仏とは、お釈迦さまが誕生した際、天から祝福の甘露の雨が降り灌(そそ)いだ言い伝えに倣うもので、花御堂の中に据えられた誕生仏に柄杓(ひしゃく)で甘茶を灌ぐものです。甘茶を灌いだ後は一拝。子どもたちに続いて、大人たちも灌仏を行います。
 甘茶は仏像に灌ぐだけでなく、お接待として実際にいただくことも出来ます(写真③)。甘茶の葉を煮出して煎れられたお茶は、まるで砂糖のような甘さが後味として残り、参詣した子どもたちにも好評のようでした。同時にお菓子もいただきました。このような、甘茶やお菓子のお接待は、子どもたちの足を気軽に運ばせ、楽しい行事として印象づけるための役割を担っているのかもしれません。



▲写真① 御花堂


▲写真② 灌仏の様子


▲写真③ 甘茶のお接待