学芸だより

「筑前国分寺七重塔復原模型」の製作とメンテナンス

 当館の建物南側のふれあい広場には、筑前国分寺にかつて建立されていた七重塔の復原模型があります。原寸の1/10で作られ、基礎部分約0.15m、建物本体約3.6m、相輪部分約1.45mをあわせて5.2mの高さです。
 
復原にあたって、まず模型の材質が費用・耐久性・管理面で検討されました。その結果、木造より安く耐久性は石造より劣るものの、細部組物の再現が可能で、費用が石造と同等のFRP(Fiber glass Reinforced Plastic / ガラス繊維強化プラスチック)に決まりました。現存する七重塔がないため、1/10で製作された豊後国分寺七重塔模型や、発掘により分かった柱間の寸法などを基に原寸で設計図をおこし、塔全体の比率と構造はもちろん、木部・瓦・相輪・風鐸・などの仕様が細かく検討され製作されています。(瓦は一枚一枚彩色され、軒瓦・鬼瓦はともに筑前国分寺跡の出土品をモデルにしています。)
 
この模型は文化ふれあい館のシンボルであり、屋外展示されている貴重な資料ですから、状態を維持していくため定期的にメンテナンスを行い、塗装がはがれた木部や瓦は補色し、割れた部材は交換されます。このメンテナンス、今年度は12月16日(火)~18日(木)に実施されました。3日間、塔の周囲には足場がかけられ「せっかくの塔が良く見えない」という状況でしたが、この光景は「なかなか見られるものではない」ともいえます。

メンテナンス中はセキュリティーを解除して作業をしますが、普段は侵入を防ぐため、塔の四方にセンサーを配置しています。こちらも資料としての塔を管理する上で必要なものとご理解下さい。写真は18年度のメンテナンス時のものです。



相輪部分の点検


補色が必要な木部


鬼瓦・軒瓦・風鐸