学芸だより

「拓本」で市内の文化財を保存

 当館では平成8年の開館の折、1年間にわたり「拓本講座」を開催しました。この講座を修了された方々が中心となって「拓友会」が結成され、以来会では太宰府市内に数多く点在している石碑の拓本を採る活動を息長く続けてきました。  石造文化財の多くが長年の風雨にさらされ、年々その判読も難しくなっていく中、地道な作業によって記録が取られ、それらを基に調査も進んでいきます。文化財を次の世代に残し、伝えていくうえで、こうした活動そのものが大変貴重であるといえます。  今年も、日頃の活動で採拓された約30点の拓本資料が当館に寄贈され、裏打ちした後に改めて資料内覧会を持ちました。拓本によって初めて文字が浮き上がり、判読できた喜びや、採ったときの思い出が次々によみがえり、楽しいひとときとなりました。  町のあちこちで目にすることのできる石碑は、もっとも身近な文化財の一つです。何が書かれているのか、いつ頃建てられたものなのか、ちょっと足を止めてみてはいかがでしょうか。 



▲「拓友会」のみなさん

▲文字の判読