学芸だより

くらしのうつりかわり展 第10回記念トピック

“「博・学・社」融合の場になった展覧会”

 博学社の博は博物館、学は学校、社は社会全般をさします。これらが連携し、子どもたちのよりよい学びの場を創設したいという思いから当館が試みたのが「くらしのうつりかわり展(以後くらし展と記す)」の展開であろうと考えます。
 くらし展は、平成8年の開館時から、小学校の要望で企画開催してきた授業支援型展覧会です。先生方の要望は、社会科単元「市の人々のくらしのうつりかわり」で学習する昔の道具の実物を児童に見せたいというものでした。当初、収蔵品が少なかったため、他の博物館から多くの資料を借用し、市民にも広く資料提供を呼びかけ、教科書の掲載資料に沿った展示の企画に務めてきました。その結果、今回初めて館蔵品のみで展示ができました。貴重な資料のほとんどをご寄贈いただいた市民の皆さまに心から感謝の意を表します。
 さて、このくらし展を2回目よりサポートしてくださっているのが、学習支援ボランティア「おたすけまん」の皆さんです。展示室・体験コーナーでの解説と補助が主な活動です。子どもの頃、実際に道具を使ったひとの話は説得力があり、教師や学芸員では説明に難渋する資料について、わかりやすくしかも的確に子どもたちに理解させてしまうのです。
 館はまた、異世代交流の場となり、互いを見直す良い機会にもなり、子どもは「おたすけまん」を単におじいちゃん世代とするのでなく、自分たちの大先輩であることを認識します。一方、「おたすけまん」は、わけのわからない現代っ子と感じていた子どもたちが、自分の説明に瞳を輝かせる様子を目の当たりにして、明日を担う子どもたちの育成に立ち会っていることを実感できます。教師や児童たちの絶大なる信頼感を得、強く支持される「おたすけまん」なくしては、くらしのうつりかわり展の学校団体見学の受け入れは考えられない状況となっています。
 「子どもの笑顔に叡智が宿る」を合い言葉に、おたすけまんとの二人三脚は続きます。



↑おたすけまんと一緒に記念写真。国分小学校3年生。
くらし展団体見学後、すっかり仲良しになったおたすけまんと記念写真をパチリ。
みんなの笑顔が「博・学・社」連携のあかし。はばたけ、未来へ!