学芸だより

古代の瓦づくりには布が必要だった!

 太宰府市内はもとより各地の遺跡から発掘される瓦の中には、木製の桶状の道具を使ってつくられたものがあり、それらの瓦は「桶巻きづくりの瓦」と呼ばれます。板状に伸ばした粘土を桶に巻いて成型すると考えられ、円筒状のものを四つに分割してつくります。このとき、粘土を桶からはずし易くするため桶と粘土の間に布を挟みます。

 この布はどんなものだったのか? どのように織られていたのか? などを推測してつくってみようと、「布目瓦に残る古代の布を織る」という講座が、昨年の6月から今年の3月まで(全10回)当館で行われています。カラムシ(苧麻・ちょま:古来繊維をとるために栽培されていた。現在は野生化したものが多い。)の表皮からとれる繊維を撚ってつなぎつくった糸を材料に、織機を使わずに布を織っていきます。まず、カラムシを採取して繊維のとり方、その繊維をつなぎ糸にすることを学びました。何事も体験してみなくては分からないもの。繊維とり、糸づくりとも自然相手!! 想像以上に大変な作業!!! 一筋縄ではいきません。

 詳しい内容は8月初旬からの展覧会「第6回 歴史の散歩道展 仮)温故知甄・おんこちけん」の一部として紹介する予定です。カラムシってどんな植物、 糸はきちんとできたのか、布は織れたのか、どうやって瓦をつくるのかなど、みなさんも想像力を働かせて展覧会での報告をお待ちください。なお、1月末現在、受講生は講師の先生の熱心な指導のもと、縦糸の整え方の習得に励んでいます。



糸の材料になるカラムシ


茎の皮をむきます


小刀で皮の表面をはぎ繊維を採取