学芸だより

展覧会注目資料紹介


   「連歌」は和歌から派生した文芸です。連歌最大の特徴は、5・7・5・7・7という歌の形式のうち、上の句(5・7・5)と下の句(7・7)とを別人が詠みつないでいくところに見られます。現在開催中の「まるごと太宰府歴史展2018」では、この連歌に関連した資料として「夢想之連歌」を展示しています。「夢想之連歌」とは、神より得た句を一句目とする連歌のことで、展示している資料は、江戸時代はじめに戦国武将・黒田如水が開催した連歌会で詠まれたものです。連衆(参加者)には、如水の妻や息子、孫などがいます。如水が夢の中で感得したという一首「松梅や末長かれと緑立つ/山よりつづく里は福岡」は、「福岡」という地名の初見資料としても貴重です。如水は詠んだ歌を太宰府天満宮へ奉納しており、その控えを黒田家に遺しました。
    今回の展覧会では①太宰府天満宮所蔵分と②福岡市博物館所蔵分とを並べて展示しています。(※①は写真パネルでの展示)ぜひご覧ください。

学芸員 髙松麻美