学芸だより

観光と太宰府―収蔵品紹介―


   文化ふれあい館の収蔵品は、主に皆さんから寄贈していただいた資料で構成されています。拓本や農具などの民俗資料のほか、太宰府に関連するものなどがあります。
   収蔵品のひとつに、昭和10年に発行された観光地図があります。大正から昭和にかけて鉄道の整備が進み、人々は全国各地の観光地まで足を伸ばす機会が増え、多種多様な地図が作られました。福岡で発行された地図には、太宰府天満宮や水城跡、大宰府政庁跡なども掲載されており、当時から観光スポットだったようです。
   また、昭和33年に発行された『史蹟と詩情豊かな太宰府』という書籍では、市内の史跡が当時の研究成果に基づいて紹介されています。本の終わりには、鉄道を使った史跡を巡る観光コースが複数紹介されており、こうした書籍が太宰府の歴史を伝えるだけでなく観光ガイドブックの役割も果たしていたことが分かります。
   これらの地図や書籍を見て、どれだけの人々が太宰府を訪れたのかは分かりませんが、今も昔も有数の観光スポットであったことは間違いありません。
学芸員 後藤夏実