学芸だより
絵葉書に残る昔の風景
日本では、明治33年(1900)に私製葉書の発行が認められるようになると、さまざまな絵葉書が作られるようになります。その後、日露戦争の戦勝記念絵葉書の発行を契機として爆発的な流行をみせ、民間の販売業者が増え、明治40年代には専門店の登場や専門雑誌の創刊などが相次ぎ、ブームはさらに加熱します。印刷技術の発達とともに絵葉書も多様化し、次第に絵柄や構図にこだわったものや、記念もの、シリーズものも作られるようになりました。
文化ふれあい館の収蔵品のひとつである「絵はがき 太宰府みやげ」には、明治末から大正のはじめ頃とみられる太宰府とその周辺の様子が写っています。このうち、大宰府政庁正殿跡の絵葉書には現在3基ある石碑のうち2基しか写っておらず、「太宰府碑」が建てられる以前の風景が見てとれます。また、太宰府天満宮の参道入口をとらえた絵葉書には、今は見ることのできない銅の鳥居が写っています。
2月18日(土)の太宰府学講座では、絵葉書に残る昔の太宰府の風景を見るとともに、近年注目されつつある絵葉書の歴史や鑑賞のポイントを紹介します。ぜひご参加ください。
学芸員 後藤夏実