ふれあい館 スタッフブログ

BLOG 特集 太宰府ゆかりの木彫家・冨永朝堂
11月
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   現在開催中の「第48回筑紫美術協会展」では、現会員による日本画・洋画・彫刻・工芸・書の作品を展示しているほか、協会の初代会長である太宰府ゆかりの木彫家・冨永朝堂の特別展示を行っています。
   今年没後30年を迎える朝堂は福岡市の生まれで、家は祖父の代から指物屋(家具製造販売業)を営んでいました。自身も優秀な職人になることを期待されていましたが、彫刻家を志していたため家族の反対を押し切って上京し、高村光雲の弟子・山崎朝雲に師事します。
   修業を終えたのち、朝堂は帝国美術院展覧会で特選を重ね、彫刻家として評価されていきますが、昭和19(1944)年に疎開のため太宰府へ移り、大宰府政庁跡の近くにアトリエ「吐月叢」を構えました。
   その後、筑紫美術協会の初代会長を務めるなど、太宰府の地域文化向上に大きく関わり、地域に根ざした彫刻家であった朝堂は、40年にわたって太宰府を制作の場としました。朝堂の作品は市内に点在しており、今でも見学することができます。
   今回の特別展示では朝堂の生涯を追いながら、山崎朝雲のもとに入門したころの作品から、死の直前に揮毫した辞世の歌が刻字された「絶筆」まで16点を展示しています。「木の中に棲む作家」と称された冨永朝堂の作品も合わせてご覧ください。