太宰府の民俗

太宰府市には、長い歴史の中で生まれた、多彩な物語や言い伝えが数多く残されています。しかし現在、社会状況の変化による影響などから、こうした物語が語り継がれなくなりつつあります。ここでは、古くから太宰府に伝わるさまざまな伝説についてご紹介します。


秀吉と日吉神社(ひでよしとひよしじんじゃ)


  観世音寺の北、小高い丘の上に祀られている日吉神社には、豊臣秀吉にまつわる逸話が伝えられています。
  天正15年(1587)、九州で大きな勢力を誇っていた島津氏を服従させ、九州を平定した秀吉は、帰路の途中6月6日に太宰府天満宮に参詣しました。その際、観世音寺の鎮守社である日吉神社に陣を張ったといいます。
  時の観世音寺の別当は世事に疎かったため、秀吉が天下人であることを知りませんでした。そのため、この別当は近隣の郡司や村長たちに会う時のように、輿に乗ったまま秀吉に応対してしまったのです。この非礼に激怒した秀吉は、観世音寺の寺領を没収しました。しかし、観世音寺は歴史的にも由緒のある寺ということで、側近らのとりなしもあり、百町の寺領だけは残されました。その後、九州一の名刹であった観世音寺は、江戸時代に復興されるまで、いちじるしく衰退してしまったのでした。

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